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質問4 : 何れにしても、私の遺留分は侵害されているということですので、それを行使したいと思うのですが、その方法を教えてください。

 

回答4 : 遺留分を侵害された相続人は、遺留分を侵害する贈与を受けた者に対し、遺留分侵害額の請求(意思表示)をする必要があります(遺留分侵害額請求)。

 

1)行使期間

遺留分侵害額請求権の行使は「相続の開始及び遺留分を侵害する贈与…があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。」とされている(1048条)ことから、シビアな問題に発展することがあります。

 

2)表示方法

遺留分侵害額請求権は必ずしも訴えの方法によることを必要としておらず、相手方に対する意思表示によって行えば足ります。

ただ、その意思表示は、相手方に「到達」する必要があります(97条1項)。また、上記の通り消滅時効にかかる可能性があるため、いつ減殺請求を行ったかが問題となる事があります。そこで、通常このような意思表示は明確に行うために内容証明郵便によってなされます。

 

しかし、それが返送されてきたときはどうなるでしょうか。

内容証明郵便が不在により配達することができない場合、郵便局に連絡するよう通知書が代わりに投函されます。相手方が取りに行かなかったり、不在の通知書に気づかないと差出人に戻ってきます。この場合、最高裁は、相手方が不在であっても内容証明が到達したとみる判決を下しました。

 

最1小判平成10年6月11日民集52巻4号1034頁
内容証明郵便が留置期間の経過により差出人に還付された場合において、受取人が不在配達通知書の記載等から郵便物の内容が遺留分減殺の意思表示等であることを推知することができ、また受取人の意思があれば、郵便物の受領をすることができたときは、右遺留分減殺の意思表示は了知可能な状態に置かれたものとして、留置期間が満了した時点で受取人に到達したと認められる

 

 

意思表示は遺産分割協議の申入れの中でも可能

意思表示の内容としては、遺留分侵害額の対象となる物件等を特定する必要はありませんが、それが遺留分侵害額請求の意思表示と解釈できるものでなければいけません。この点、上記平成10年6月最高裁判決は、以下の通り、その意思表示が、遺産分割協議の申入れの中でも可能とされる場合を認めました。

 

遺産分割と遺留分減殺とは、その要件、効果を異にするから、遺産分割協議の申入れに、当然、遺留分減殺の意思表示が含まれているということはできない。しかし、被相続人の全財産が相続人の一部の者に遺贈された場合には、遺贈を受けなかった相続人が遺産の配分を求めるためには、法律上、遺留分減殺によるほかないのであるから、遺留分減殺請求権を有する相続人が、遺贈の効果を争うことなく、遺産分割協議の申入れをしたときは、特段の事情のない限り、その申入れには遺留分減殺の意思表示が含まれていると解するのが相当である。

 

このように考えると、あなたが、例えば、遺産分割の調停・審判の申立てをした場合についても、既に預金の半分は受け取っており、本来ならば他に話し合いをするものは残っていないのですから、その申立てには同様の事情があると考えられ、お兄さんに対する遺留分侵害額請求の意思表示が到達したと解釈されるのではないかと考えます。

 

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