飲酒運転は人身事故を伴うと、道路交通法違反だけでなく、処罰法の危険運転(酩酊運転・準酩酊運転)として処罰される場合もあります。そして、

 

酒酔い運転にいうアルコールの影響により「正常な運転ができないおそれがある状態(道路交通法117条の2第1号)」(①)と似た概念として、

酩酊運転の「正常な運転が困難な状態(処罰法2条1号、4条)」(②)や

準酩酊運転の「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態(同法3条1項)」(③)というものがあります。

 

いずれも抽象的な概念ですが、

 

③については、酒気帯び運転程のアルコールを身体に保有する状態であれば該当すると考えられています(呼気アルコール濃度が0.15mg/Ⅼ以上か、血中アルコール濃度が0.3mg/ml以上)。ただ、酒気帯び運転に該当しない程度であっても、自動車を運転するのに必要な注意力等が相当程度減退して危険性のある状態にあれば、③に該当します。

 

①については「車両等を正常に運転するについて必要な注意力、すなわち外部に対する注意力、中枢神経の活動力、制抑心等を欠くおそれがある状態」とされていますが、現実的には前述したとおり「直立不動を維持できない状態」「歩行困難な状態」「言語能力が正常でない状態」等が参考とされます。

 

他方②については「運転が困難な状態」という文言からしても刑罰内容からしても、①より程度が重いことは伺えます。ただ、②の典型は、ⅰ蛇行運転をする状態、意識がもうろうとしている状態であり、ⅱ一瞬急ブレーキを踏むのが遅れたという場合はこれに含まれませんが、ⅲアルコールの影響で前方不注視になった場合も含むとされています。②について、最決平成23年10月31日刑集65巻7号1138頁(以下、平成23年最高裁決定といいます。)は「アルコールの影響により道路交通の状況に応じた運転操作を行うことが困難な心身の状態」であると述べ、その判断にあたっては「事故の態様のほか、事故前の飲酒量及び酩酊状況、事故前の運転状況、事故後の言動、飲酒検知結果等を総合的に考慮すべきである」としていることも相まって、結局、①か②かは、総合評価によって決まるところがあり、過去の事例と比較することが重要になってきます。

 

従って、上記①、②、③の関係は、酩酊の程度ということになり、重い状態から順に、②>①>③ということになります。

 

運転者の酩酊状態やこれに対する認識は、飲酒による交通事故犯罪を検討する上で、重要ですから、次回以降のブログで詳しく述べることにします。

 

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