醜状痕
醜状痕(しゅうじょうこん)といい、読み方は難しいんですが「みにくいじょうたいのあと」なので、何となく意味は伝わりますよね。
要は、交通事故により、体に傷痕が残った状態を指し、部位と程度に寄りますが、
7級 外貌(顔面部等、手足以外の日常露出する部分)の
著しい(顔面部だと10円玉大以上の組織陥没等)醜状を残すもの
9級 外貌の相当程度(顔面部だと5センチ以上の線状痕で人目につく)の醜状
12級 外貌の醜状(顔面部だと3センチ以上の線状痕)
であれば、後遺障害慰謝料が認められます。
以前、後遺症のところで触れましたが「局部に頑固な神経症状」を残す場合でも、12級です。https://kawanishiikeda-law.jp/blog/781
従って、醜状痕とは結構な後遺症とされている訳ですが、それがセンチ等で客観的に判断されることもあり、センチ等が少し足りない場合に紛争が生じます。
また、神経症状だと手足が動き辛い訳ですから、労働能力喪失による逸失利益の賠償請求も認められ易いのですが(12級14パーセント、14級5パーセント)、醜状痕があったからといって、直ちに働けない訳でもなく、労働能力を喪失させることをうかがわしめる特段の事情(醜状痕があるが故、十分な仕事ができなかった)が必要になります。
以下は、村上新村法律事務所で、現実に取り扱った事例です。
ケースとしては、加害車両が、脇見運転によりセンターラインをはみ出し、被害車両に衝突、被害車両に同乗していた当時19歳の専門学校に通う女性に左骨盤骨折、左足関節骨折、顔面挫創、左膝挫創等の傷害を負わせた事案でした。
加害者保険会社の主張は、骨折の関係で併合12級の後遺障害を認めたものの、顔面挫創(眉間から鼻にかけての線状傷跡2センチ)等による醜状痕の後遺障害は認めませんでした。そこで、①醜状痕による後遺障害の有無、②専門学校の卒業が1年遅れたことによる損害、③逸失利益を賃金センサス基準により計算できるかが、争われました。
加害者保険会社からの当所提示額は、①~③を全て否定した、5、318、960円(既払金6、194、769円を除く)でしたがが、①を200万円、②を290万円、③を410万円と評価して、その余の損害を含め合計1540万円の訴訟を提起したところ、既払金を除いた12、130、181円で訴訟上の和解となりました。
まとめると、訴訟上の和解額12、130、181円
-提示額 5、318、960円
6、811、221円 の増額が認められました。
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