警察庁のデータによれば、国内の行方不明者は、年間約8万人で推移しています。大方は割りと早めに発見されますが、令和2年度における、所在乃至死亡が確認されなかった人数は9644人。

日本の人口は1億2565万人ですから、大体、10万人に7、8人ということになり、これを大阪市にあてはめると、年間200人前後の人が行方不明になって生死不明ということになります。こうしてみると結構な人数ですね。

ところで、遺産分割は「共同相続人」の協議によるのが原則です(907条1項)。相続人かどうかは、先ず戸籍で確かめます。どれだけ長期間行方不明であったとしても、そのことだけで行方不明者を遺産分割協議から省く訳にはいきません。

 

失踪宣告

この場合、失踪宣告(30条以下)といった制度があります。失踪宣告とは、不在者を「死亡したものとみなす」家庭裁判所の裁判です(31条)。

 

ただ、そのためには「生死不明」の状態が「一定期間継続」することが必要です。原則として、その期間は7年間とされている(30条1項)ので長いです(戦地に行った者、沈没船にいた者については、1年。)。また、例えば、夫Aが死亡した場合に妻Bが遺産分割協議をしようとするとき、唯一の子Cにつき失踪宣告を得てしまうと、二次相続の問題が生じます。Aの両親が存命であったり、これらが死亡していても兄弟姉妹が存命していた場合、その者らが二次相続人となる(889条)ので、Bとしては、その者らと遺産分割協議をしなければなりません。義理の親や兄弟姉妹と協議をするのは、妻Bとしては、それなりに負担でしょう。

 

不在者財産管理人

それでは、Bの意思に沿わないということであれば、不在者財産管理人(25条以下)といった制度もあります。

 

不在者財産管理人の権限は「保存行為」等に限られ「遺産分割協議」をするには家庭裁判所の許可が必要です(28条、103条)。その許可は、一定期間財産管理をした後でなければ下りないのが通常であり、また、不在者財産管理人の報酬も必要になります(29条2項)。不在者財産管理人との間では、不在者が法定相続分を下回るような財産しか取得しないような内容の遺産分割協議を、原則として交わすことはできません(家庭裁判所が許可しません。)。ただ、失踪宣告より使い勝手はいいかもしれません。

 

遺言の活用

このような場合に遺言があれば助かります。例えばAが「全ての財産をBに相続させる」と遺言しておけば、BがCとの関係で遺産分割協議をする必要はないので、このような面倒は防げます。

 

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